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2002年2月、小泉首相は施政方針演説のなかでで、「研究活動や創造活動の成果を、知的財産として、戦略的に保護・活用し、我が国産業の国際競争力を強化することを国家の目標とします。」という「知財立国宣言」を行った。
その後、知財基本法が制定され、知財関連の法律も矢継ぎ早に改正。国、地方自治体、企業、大学に至るまですさまじい速度で改革がなされ、日本という国を変革してきた。すでに、枠組み作りは終え、本格的な実践段階に入ったといえる「知財改革」。
しかし、日本が「知財立国」として確固たる地位を築くためには、今後も解決していかねばならない課題は数多い。
本特集では、各知財分野で活躍する第一人者に、「知財立国」の未来に向けて、今何が問題なのかを論じてもらい、解決への道筋を探る。
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学術研究と知財 |
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東京工科大学 副学長 東京大学 名誉教授 |
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軽部 征夫 |
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コンテンツ大国の実現と知財人材 |
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日比谷パーク法律事務所代表 |
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エンターテインメントロイヤーズネットワーク理事長 弁護士
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久保利 英明
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真の知財人材の条件 |
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日本知的財産協会 専務理事 |
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宗定 勇 |
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地上波デジタル放送の開始とコピー問題 |
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TMI総合法律事務所 弁護士 |
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遠山 友寛 |
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知財経営のススメ−中小・ベンチャー企業のイノベーション力を経営力につなげるために- |
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内田・鮫島法律事務所 弁護士 東京工業大学 特任教授 |
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鮫島 正洋 |
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子どもへのアントレプレナー教育が知財立国をつくる |
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清野 正哉 |
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ブランド戦略のその先へ-一過性に陥りやすい日本企業の体質に警鐘を鳴らす- |
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グラムコ株式会社 代表取締役社長 |
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山田 敦郎 |
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モノづくりの危機 |
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経済ジャーナリスト |
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岸 宣仁 |
●学術研究と知財
学術研究によって生まれる知財
初めて知財と出会ったのは、東京工業大学資源化学研究所の生物資源部門に入ってからである。私が一歩足を踏み入れた研究所は、アルミナの製造に関する特許料収入で設立された研究所で、知財とは極めて深いつながりのある場所であった。私の恩師の水口純教授はフェライトの発見者として有名な加藤与五郎先生の門下生であり、加藤先生から厳しく発明等の指導を受けたようである。初めて水口先生にお会いした時に工学部で行なう研究は世の役に立たなければ何にもならないと教えられた。
私はコラーゲンと呼ばれる繊維性蛋白質を使ってソーセージなどのケーシングを作る研究を始めた。研究室で行われていたケーシングの製造方法は、大変独創的なものであった。私は電気的にコラーゲンチューブを筒状に成形する方法の研究に合流することになった。電気的にチューブ状の膜が成形される際に陰極から水素が発生し、この水素によって膜に穴が開いてしまう問題があった。結局、試行錯誤を繰り返し、最終的に陰極で発生する気泡を界面活性剤で分散させることによって、穴が開かないコラーゲンチューブを連続的に製造する方法を発明した。
この結果を先生に報告したところ、すぐ特許を書くから君も手伝えと言われ、ホテルに泊り込んで特許の作成に協力した。これが私が特許というものに触れた最初の経験である。結局ソーセージのケーシングの電気化学的な製造方法はスポンサー企業から大手の化学工業会社に移転されたが、残念ながら商業化はされなかった。この理由は、ケーシングはそれほど大きな売り上げに結び付かなかったためと思われる。その後、このコラーゲン膜を応用してバイオセンサーの研究に入ることになった。したがって、この発明は現在の私の研究のベースになっているといっても過言ではない。
その後、バイオセンサーの研究で数多くの特許を取得し、また、その幾つかについては、実用化に成功している。そのひとつが河川や工場排水等の汚染をいち早く推定するBODセンサーである。微生物を生かしたまま膜の中に固定し、この微生物の膜と電極を組み合わせた微生物センサーというものを世界で初めて開発した。この微生物を生かしたまま膜の中に固定化するのに、すでに述べたコラーゲン膜が大変活躍した。当時は、私のように特許を実用化した例は大学にはほとんどなかった。大学の教員は研究成果を学会で発表し、論文としてまとめることに主眼をおいているからである。私も実は論文の発表を優先してきており、特許の出願が後手に回ることも多かった。学会である論文を発表したところ、電機会社に我々の発表の内容で特許を取られてしまって、それが先願となって、あとから出した我々の特許が成立しないという悔しさも経験してきた。
大学では特許は学術成果としてほとんど認められておらず論文のみが評価の対象になっている。特に大学院教育に携わっている教員にとっては、論文の発表は学生の修了要件にされているため、極めて重要である。したがって、きちっと特許を出願してから学術論文を書かせるのでは時間が間に合わない問題がある。このような事情からどうしても特許の出願がおろそかにされてきたのである。この問題を解決するためには特許などの知財の出願を論文と同等の価値があると認めなければいけないのかもしれない。
続きは本誌をご覧ください。
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